相談者は会社員の福男さん(仮名)男性、30代、独身、年収は日本人の平均年収の約430万円。
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福男
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藤井先生、現在正社員で仕事をしていますが、コロナ禍でボーナスが減少し、副業(アルバイトかフリーランス)を始めようと思います。
確定申告が必要になるということを聞いたことがあるのですが、副業を始めるにあたって注意が必要なことなど教えていただけますでしょうか?
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藤井
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まず、副業を始めるにあたって注意すべきなのは、その副業が所得税法上、どの所得として扱われるかを考えることです。
サラリーマンの場合、毎月の給与や臨時の賞与の支給については、「給与所得」として扱われます。
副業が、アルバイトに該当する場合、上記と同じく「給与所得」となります。
また、副業をフリーランスで行う場合には収入を「事業所得」若しくは「雑所得」として扱い、それぞれで計算方法や所得計算が異なります。
今まで確定申告を行ったことがありますか?
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福男
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今までは会社の方で年末調整をしていたので、確定申告はしたことがありません。
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藤井
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会社で行う年末調整は、会社員向けのミニ確定申告というイメージですね。
対象の所得が給与所得のみであり、優遇が受けられる控除も限定的です。
確定申告は、すべての所得を対象とした申告であり、確定申告を前提とした税の優遇措置が多数あります。
副業によって、今後は確定申告が必要になるかもしれませんね。
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福男
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副業でも働き方によって、所得の種類が違うのはわかったのですが、計算方法はどのように違うのでしょうか?
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藤井
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簡単なイメージとして給与所得の計算は、サラリーマンの年収額(通勤手当を含まない)から給与所得控除という金額を控除して計算します。
給与所得控除はサラリーマン用の定額経費というイメージですね。
この給与所得控除の金額は年収額で異なります。
事業所得と雑所得の計算は、年間の事業の収入金額から年間の経費の実額を控除して計算することになります。
事業所得と雑所得の違いは、事業的規模か否かという点です。
事業所得の場合は、申請・届出により最大65万円の控除を利用でき、かつ、赤字の繰り越しができるというメリットがありますが、雑所得にはそういうものがありません。
事業所得のデメリットは、帳簿の作成・書類の保存などの作業が煩雑になりやすいという点ですね。
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福男
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副業の金額によっては確定申告をしなくてもよいということを聞いたことがありますが、どういう基準なのでしょうか?
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藤井
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副業の確定申告の要否の基準は、副業がアルバイトの場合、給与所得が2か所で生じているため、主たる会社と副業の会社からそれぞれ源泉徴収票もらうことになります。
主たる会社で年末調整を行っている場合でも、副業の分を合算再計算して正確な所得税を確定申告により計算する必要があります。(ただし、例外はあり)
副業をフリーランスで行う場合、給与所得と退職所得以外の所得金額が年間で20万円以下の場合、確定申告を行う必要はありませんが、20万円を超える場合確定申告が必要です。
ちなみに所得とは収入から経費を引いた利益とイメージしてください。
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福男
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分かりやすい解説ありがとうございます。
具体的に副業が決まったら、また相談させてください。