会社員の福男さん(仮名)男性、30代、独身、年収は日本人の平均年収の約430万円。 副業一年目、事業規模も小さく青色申告の届出書はしていないため、今回は雑所得として計算。
- 福男
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デザインの副業をフリーランスでやったら、約100万の収入になりました。
確定申告の計算をしようと思うのですが、副業の経費をどれくらい計上していいか知りたいのです。
- 藤井
- 副業を雑所得で計上する場合、収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得となり総合課税になりますので、給与所得と合算して税金が課されることが想定されますね。今回の副業に関係する経費で実際にどのようなものがかかったか教えて下さい。
- 福男
- 副業を始めるにあたって新たにデスクトップパソコンを購入し、デザイン用のソフト代を月々支払っています。
- 藤井
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デザイン用ソフト代については、副業のデザイン作業に関わるものと考えられ月々の利用料になるようなものは全額を副業の経費として計上できますね。
ただパソコンは、大手有名メーカーやスペックの高いものは高額になることが多いので金額を一定の基準に当てはめることになり、1年で全額を副業の経費にすることができないものもあります。
※10万円未満の取得費は全額経費にできる規定等があります。
- 福男
- 副業は自宅でしているのですが、家賃や光熱費は副業の経費になりますか?
- 藤井
- 一番悩ましい点ですが、自宅の家賃や水道光熱費に関しては、法令解釈通達で「業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分は、業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する」とされています。具体的に明示はされていませんが、一般的には50%を最大値に業務の利用割合で考えるのが一般的です。法第45条―1.2参照
- 福男
- 携帯電話で副業の得意先とやりとりしています。この経費の割合はどうしたらいいですか?
- 藤井
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現状において、スマートフォンで物品購入やアプリ課金が可能であるため、通信会社からの請求額の全額を経費にしようとすると不合理が生じる場合があります。
あくまでも、副業に利用した通信費のみが経費です!
プライベートと業務の利用割合をしっかり把握しましょう。
- 福男
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なるほど、利用明細をみて判断が必要なのですね。
その他に副業の経費になりそうなものはありますか?
- 藤井
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デザインの副業の場合ですと、例えばデザインの参考資料のための書籍代などは新聞図書費という項目で経費化することは可能です。
また、取引先との打ち合わせに際してかかったタクシー代・電車代などの交通費や取引先との接待の際の飲食代などもそれぞれ旅費交通費と接待飲食費という項目で経費化することは可能です。
- 福男
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なるほど、その辺の経費も多少ありそうです。
お聞きした内容を踏まえて、ちょっと計算してみますね。
・・・・・・10分経過後・・・・・・
教えていただいた方法で計算すると、ざっと副業の所得は25万円ぐらいかな。
- 藤井
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副業の所得が25万円ですと今回は所得税の確定申告義務がありますね。
会社員や公務員など給与所得がある人は、給与所得以外の年間所得金額の合計が20万円を超える場合、確定申告が必要になります。 逆に副業の年間所得が20万円以下であれば「所得税」の確定申告は不要となります。
- 福男
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え、副業の所得が20万円以下の場合は申告する必要がないのですか!
その分の所得については、税金は全くかからないということですか?
- 藤井
- 所得税については、申告義務がありません。ただ、住民税についてはこういった規定がないため申告義務があります。住民税の申告は管轄が税務署ではなく市区町村の自治体であるため注意が必要です。もし副業所得が20万円未満になった場合は、ご自身の地元の自治体で住民税の申告されるのがベストだと思います。
- 福男
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個人の住民税に申告があるのは初めて知りました。ありがとうございます。
次は確定申告書の記載方法も教えてください。
次回のコラムは「実践編(税額計算)」です。